詩とGedicht のあわいで

この世を去るまえに

エーリッヒ・フリード

もう一度話しておこう
人生のぬくもりについて
こう思える人が、わずかでもいるように。
ぬくもりなんかない
でも、持てるかもしれない

この世を去るまえに
もう一度話しておこう
愛について
こう言える人が、わずかでもいるように。
愛は存在した
愛はあるはずなんだ

もう一度話しておこう
幸せへの希望のある幸せについて
こう問える人が、わずかでもいるように。
それはどんなことだった?
いつまた、やって来るの?

人は幼少期の経験やこれまでの人生などを通して、自分の中にたくさんの固定観念を持っており、その固定してしまったフィルターを通して世界を見ています。そのフィルターを外して自分自身や周りをみたとき、もともと自分の中にあった大切なものに気づいたり、それまで気づかなかった目の前にある可能性が見えてくるのかもしれません。そのとき人は強くなり、現状を変えるための行動を起こせるのだろうと思います。
原詩「Bevor ich sterbe」Erich Fried

©1981, 2001 Verlag Klaus Wagenbach, Berlin