月夜

ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ それは夜空が大地へとそっと口づけるようだった。薄花明りに大地がもう夜空の夢を見られるように。 風が畑を駆け抜けて穂はゆるやかに波打った。森は静かにさやめいて星澄み渡る夜だった。 そして…

あるがまま

エーリッヒ・フリード それは無意味だと理性が言うそうあるがままだよと愛が言う それは誤算だと打算が言う痛み以外の何物でもないと恐れが言うそれは見込みがないと見識が言うそうあるがままだよと愛が言う それは滑稽だとプライドが…

そばにいたい

エーリッヒ・フリード 君のそばにいたい今していることの最中で抜け出して君のもとへいってしまいたい ただ君だけを見て重ねた手と手より近くくちづけた唇より密接に君のそばにいたい君の中でやさしく君に近づいて外側から君にくちづけ…

きみ

エーリッヒ・フリード 自由のないところではきみがその自由尊厳のないところではきみがその尊厳ぬくもりのないところ人と人の親しみのないところではきみがその親しみでありぬくもり心無い世界の、ココロ きみの唇と舌は問いかけと答え…